備忘録。

 恋しい、恋しいと。
 2014/11/08

恋しい恋しいと彼女が言うのです。
彼女の言う恋しいなど、どうせ薄っぺらいものでしょう。
ですが、見ているとどうも苦しそうです。
恋しいとはなんでしょうか?
仕合せなのでしょうか。
苦しいのでしょうか。
苦いのででしょうか。
気持ちいいのでしょうか。
さっぱり解りませんね。
彼女があんまり苦しそうだから、そっと私は彼女の首に指を回しました。
ほら、これでももう苦しくならないわね。


 華麗に裏切りましょう。
 2014/11/08

どうせ死ぬなら一緒に死にましょうや。
縄を二本用意してあって、最初からそのつもりだったと察せられる。
貴方が好きな映画をなんどもなんども繰り返して観ていたから、フィルムは傷だらけになってとうとう焼ききれた。
貴方と同じで、貴方は私の悦ぶ事をなんども繰り返した。
だから、擦り切れて焼ききれたのね。
私たちの絆。
赤く赤くなって、燃え尽きた。
どうせ死ぬなら、一緒に死にませうか。
一本を私が持って、これが最後の絆かしら。
これならきっと、切れる事は無いわね。
貴方の長い睫毛が震えた様で、それで私は気づいてしまったの。
嗚呼、私の唇も震えながら声を上げていた。
どうして、どうして。私はこの期に及んで何を怖がっているのでしょう。
なんとも言えない吐き気で、確信になった。
こんなところで死んだら死に損。
ねえ、もう一度魅せてよ。
どうせ死ぬならもう一度。
貴方だけ死んでみせて。


 じゃりじゃりとした音。
 2014/10/24

ああ厭だ厭だ。
お前の言葉は憂鬱だ。
ああ痛い痛い。
どうして痛いおもいをしなきゃいけないのか。

どうしてお前は、たいした面も個も色も無いのにそうも言うことがあるのか。
無いから有るのかな?
無いなら有るように見せなきゃなんないものね。
疲れるでしょう。

横になって乱雑な予定を思い出して、少しづつ消化していく。
細かなものが多くって、手も足も汚れたね。
全部水にながして、漂白したらあらどうかしら?
さっぱりわからない。

暖かい寝床で、彼がそっと腹に触れる。
所有権を誇示するなら、いつだって出来るじゃない。
そんな事よりも青色の薔薇を作って頂戴。
血みどろの肉瓶に、飾ってみてはどうかしら?
ほら、ここだって、まるで奇跡よ。
不可能でもあるけれど。

それは貴方次第ね。


 仕返し。
 2014/10/01

みんながみんな同じタイミングで声を上げて、一つになってひとりを崇めて。
それを気味悪がるか、かっこいいと思うか。
僕は後者だね。
何より楽しむ心があるなら上々。

綺麗な足だねって、まるで平伏すみたいに。
ああ、僕もしてみたいな。
君になら良いよ。
その屈託のない笑顔を向けて、ありがとうなんて言われたら、それだけで幸せだね。
女神になってもらおうかな。

驚いたの、たった10分程度でこんなに目線を、気持ちを奪われるなんて思わなかったから。
怖いね、君ってこんなに魅力的だったんだ。
知ってたよ。
きっとみんなにも知られちゃう。
そんなの恐ろしい未来しか想像できないから、僕だけに恋する手術をしてあげる。

目をつぶって、大丈夫全てはうまくいくし、愉しいよ?


 蜂蜜とシナモンのフレンチトースト。
 2014/09/07

血色の悪い男が厚ぼったい唇をふがふがしながら言った。
「君、そんな事はやめてしまえよ。」
お前に言われなくても解っている。
それがやめれたらどんなに楽か。
それがやめれないから、こんなに苦しんでいる。

この男は、顔色が悪いだけでなく、よく肥えていて、それに煙草臭い。
本当に嫌になるのだが、この男の言うことがもっともで、何も言い返せずにただ顔ごと目をそらした。

ポスターの彼女達が、とても愉しそうな笑顔を浮かべて仲睦まじく写っている。
疑うのも下品な上に、真偽がどうであれ私とは全く関係ないのだが、彼女達の笑顔はどこまで商売なのだろうね?
また、どこまでが商品なのだろう?

私がそんなどうでもいいことを考えながら歩いていると、今度は醜い脂肪をコルセットに詰め込んだ自称貴婦人が降りてきた。
「まあまあ、そんな顔をして。どうしてそんな格好で。まあまあ。」
それほど感嘆詞をつけるほどのことでも無いだろうに。
私はそんなにみずぼらしい格好をしていただろうか。
いや、貧相なのは元よりで、とてもじゃないが着飾るほどの元気も無い。
レースもリボンも大好きだが、自信不足な私ではただの不相応な鎧になる。
それなら乞食の格好でもして路地に隠れてやり過ごそうか。

右や左の旦那様、なんて帽子を持って歩こうか。
いやいやそんな勇気もないね、私には。

やっとこさ家路についた。
もう真夜中だ。
何故かやけに腹が痛む。
何か悪いものでも食べたかな?
思い返して、あ、と声が出る。
そういえば夢で夜空の星を食べたのだ。
最近はどうも空気が汚くて、その空気を吸って成長した星達は、なんだか泥っぽさを感じた。
きっとその所為だな。
理由がわかり玄関を開けると、可愛い娘達が迎えてくれる。
ああ、私はなんて幸せなんだ。
こんな可愛い娘達が、習ったばかりのフレンチトーストを焼いてくれるという。
甘い甘いふわふわとした黄色い塊。
仕上げに蜂蜜とシナモンをたっぷり。
まるで私の気持ちそのものだ。

そこで主治医がこう告げた。
「もう少し、強い薬を出しましょうか?きっともっと夢見がよくなりますよ。」
その提案に私は即座に返事をした。
「ええ、そのようにお願いします。」
私の中には甘い香りが充満していた。


 一喜一憂。
 2014/08/30

君がよく使うその文字を見ると、まるで君みたいで騙されるね。
わかっていても。
簡単にときめきがよみがえる僕が馬鹿なのかな?
単純なんだね、君にだけだよ?

もっともっと近くまで来て。睫毛が見える距離。
もっともっと触れていて。皮膚が疎ましいと感じるくらい。
こんなに夢見心地なら一生醒めたくないんだよ。
現実なんて見ないで。
僕だけ見て。

もし君が先に死んじゃったら、僕はどうするかな?
急に幽霊信じたり、ホルマリン買ったりするのかな。

下らないことで悩んだり怖がったりして、いよいよ馬鹿になったみたい。

もっともっと一緒にいて。僕がいないと息ができなければ良いのに。
だってだって、僕がそうなんだもん。
いつか君が冷めてしまったらなんて。
ああ馬鹿げてる。

いいからもっともっと近くまで来て。
いつでももっともっと触れていて。
どろどろに溶けて全部一緒になって心臓も脳も一つになって。
ああ夢心地。

君の嫌いな人参、食べてあげるよ。


 変態。
 2014/08/05

お目々がかゆいの、と幼女のように目をこすると、睫毛がもまれて、欠伸を一つ。
小さな舌が現れ、前歯がちらりと顔出し閉じられる。
もう眠いの、と服をつかむのは、抱っこの要求。
頭を預けたら、体を浮かす。
あったかいね、あったかい。
服をつかむ手は強く、預ける体は軽く。
髪をほどく仕草は妖艶に。
洗い立ての髪のにおいをくすぐるように馨せて、無防備な横顔をのぞかせる。
白いシーツに浮き立つ黒髪を、一房、一房と慈しむのが決まりごと。
くすぐったいのはヤなの、とはねよけようと小さな手。
一口で食べてしまえそうなのに、我慢。
ゆっくりゆっくり一本一本、絡ませて嬲る。
臍の窪みが弱点か、震える内腿が狙い目か、ぎゅっと閉じた目蓋の隙に。
そっと舌を入れる。
滑らかな肌をおおう全てが僕であればいい。
きもちいいね、きもちいい。


 初物ほしさ。
 2014/07/20

「初物を頂きたいのです。」
指差して、そうこれの、といった感じで目線を顔ごとこちらに向けて、にこりと笑う。
でも、ごめんなさいね。
それの初物は疾うに失くしてしまったの。
だからないの。
だから売れないの。
そう言うと、この子は見るからにがっかりした様子で目を伏せて、怨めしそうにそれを見る。

「だったら、なんでもいいから初物を下さい。」
ぽそぽそとやっと聞こえるくらいの声で言うものだから、ああ可愛いなぁ、なんて漠然と思い、何かないかと考えてみる。
そうね、そうね、何があるかしら。
自らの乱れた髪を一房撫でたり、顎に指を乗せたり、一通り考えてみるけど、なかなか重い出せなくて。
いえ、いろいろと思い出してしまって、寧ろ何もないような気がして、少し困惑の色が顔にでてしまった。
そういえば、何故そんなに欲しいのかしら?
寿命を延ばしたいのかしら?
不思議ね、今生に気のないような人が。
では、何故かしら?
「いかがですか?何かありましたか?」
あら、いけない、思慮がまたどこかにふらふらと行っていたわ。


「ハツモノをいただきたいのです。」
あからさまな、いやらしい目付きで見てしまったと我ながらなんて卑しい。
でも彼女は恥ずかしがることもなく、ただ淡々と事実だけを述べる。
とても残念だ。
それは、夢にまで見た憧れとか、支配欲とか、うっとりとした感覚を全部全部混ぜて甘いお酒で満たしたみたいな快感を伴うものだから。
是非味わいたいのだ。

「だったら、なんでもいいからハツモノをください。」
もう、この際本当になんでもいいんだ。
彼女の初めてならなんでもいい。
さっきの行為で乱れた髪を指で弄んだり、唇に触れたりして一度おさまったはずの欲を掻き立てているのか。
その仕草に小さく生唾を飲んだ。
ほんの少しの間のはずなのに、ずっともっと長く感じて思わず急かしてしまう。
「いかがですか?ナニかありましたか?」
黒々とした目が泳いで、口を開いて何も言わずに閉じた。


鈴の音が嫌いだ。
あれはどこかに行くときの合図のようで、大嫌いだ。
だから、首輪の鈴は不快でしかなかった。


 吐き出せ。
 2014/06/22

ピアノの音がぽろんぽろん。
私は鍵盤を喘がす事が出来ないらしい。
聞けばいつだって、歌をつくれればいいのにって。
悔しい美しい悔しい羨ましい美しい美しい美しい。
歌にしたい言葉はたくさんあるのにね。
意味だけ含ませて、外郭も持たないまま。

音信不通の誰それに、安堵して放置する。
私の言葉が音の波なら。
私の声がピアノならば。
私の意味が歌ならば。
人生を楽譜で埋めて、音符で飾るのに。
手にしたのはペンだから。
きっと私の人生に、色と変化をくれるでしょう。
優秀なる楽士を、選り好みして消費するだけ、贅沢ね。
知ったから、飢えてしまうの。
渇いた、渇いた喉と、満たされない欲求を、腹に溜まった水みたいに、吐き出せ、吐き出せ。


 抽象的。
 2014/06/21

もやもや。
もぞもぞ。
ばい菌の数。
ダニの這う顔。
体液の分泌量の個人差。
君の言う、不安定ってどういう事?

雲の形。
水の流れ。
空気が震える波。
どれも具体的じゃないね。
粘土みたいに。
折紙みたいに。
色鉛筆で。
彫刻刀で。
数字で。
並べて、指し示してみて。

僕の解る言語で。
頭が良いらしい君の言葉は。
感情が先に立つらしい。

頭の悪い僕は。
論理的な言葉を、必死に立てる。

束ねた髪みたいに。
噛まれたガムみたいに。
詰めた綿みたいに。
140文字以内で具体案を記載ください。

感覚的直感的抽象的。
それも具体的じゃないね。


 

menu前ページTOPページ次ページspace.gifHOMEページ


- レンタル掲示板 [aimix-BBS] -

Topics Board